ドラマ『ヤンドク!』が「ひどい」と言われる理由は?脚本・演出への評価を検証

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白衣姿の元ヤンキー脳神経外科医を中心にドラマへの評価が賛否に分かれているイメージ

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『ヤンドク!』が「ひどい」と言われる主因は、古く見える人物造形、強いヤンキー演出、医療描写との温度差です。

ただし、2026年1月12日の初回から3月23日の最終話まで追うと、単純な失敗作とは言い切れません。序盤のクセが強く評価を落とした一方、後半のチーム形成や田上湖音波と中田啓介の師弟物語には評価できる部分も多い作品でした。

目次

『ヤンドク!』は本当にひどい?まず6つの理由を整理

『ヤンドク!』は、橋本環奈さん演じる田上湖音波が、元ヤンキーという異色の経歴を持ちながら脳神経外科医として患者に向き合う医療エンターテインメントです。

2026年1月12日に月曜21時枠でスタートし、初回は30分拡大の21時~22時24分。全11話が放送され、3月23日に最終話を迎えました。

橋本環奈さんにとっては初の月9主演作です。

検索すると「ヤンドク ひどい」「ヤンドク 脚本 ひどい」「ヤンドク 演技」といった少々物騒な言葉が並びます。

推し作品の検索候補が荒れていると、こちらも「知らない間に社内稟議で廃止になった?」くらいの速度で確認したくなりますよね。

2026年8月31日時点で、あるドラマレビューサービスには平均3.1、1,930件のレビューが集まっています。

評価分布は次の通りです。

  • 4.1~5.0:11%
  • 3.1~4.0:41%
  • 2.1~3.0:36%
  • 1.0~2.0:12%

つまり、低評価が目立つ作品ではあるものの、最低評価ばかりに集中しているわけではありません。

別の視聴者満足度調査では、総合満足度スコアが2.99。項目別では全体2.9、ストーリー2.8、主演キャスト3.1、セリフ2.8、映像2.9などとなっていました。

特にセリフは全体平均3.1に対して2.8、ストーリーは全体平均3.0に対して2.8です。

この数字と実際に確認できるレビューを分けて整理すると、『ヤンドク!』が「ひどい」と言われた理由は大きく6つあります。

**①セリフや人物造形を古く感じる
②ヤンキー要素が強すぎる
③医療ドラマとコメディーの温度差が大きい
④手術のイラスト表現が軽く見える
⑤医療リアリティーに違和感を覚える
⑥橋本環奈さんと役柄の相性を疑問視する声がある**

ここからは、この6つを一つずつ検証します。

大切なのは、レビュー全体の傾向と個人の感想を混同しないことです。

「一部でそう感じた人がいた」ことと、「視聴者の大多数がそう評価した」ことは別物。その線引きをしたうえで見ていきましょう。

『ヤンドク!』がひどいと言われる理由6つとは?

理由① セリフや人物造形が古く見える

最初の理由は、主人公の性格や過去を分かりやすく見せようとするあまり、セリフと人物造形が記号的に見えたことです。

脚本を担当したのは根本ノンジさん。

『正直不動産』シリーズ、『パリピ孔明』、『監察医 朝顔』シリーズ、連続テレビ小説『おむすび』などを手がけています。

『ヤンドク!』の田上湖音波は、とにかく設定が濃い主人公です。

高校を退学した元ヤンキーで、16歳の頃に親友とバイクで走行中に事故に遭い、自身は助かったものの親友を亡くします。

そのとき湖音波を救ったのが脳神経外科医・中田啓介でした。

中田との出会いをきっかけに猛勉強し、13年後には自ら脳神経外科医になります。

さらに現在も感情が高ぶれば強烈な岐阜弁が飛び出し、病院の理不尽なルールや患者より組織を優先する判断には正面から反発します。

初回だけで、

  • 元ヤンキー
  • 岐阜弁
  • 凄腕ドクター
  • 患者第一
  • 権力に物申す
  • 親友を亡くした過去
  • 命を救ってくれた恩師

という大量の情報が投入されます。

分かりやすい半面、視聴者が湖音波を一人の人間として知る前に、「はい、この人はこういうキャラです」という説明が先回りしてしまった印象があります。

満足度調査でもストーリー2.8、セリフ2.8となっており、作品全体の中でも弱点が表れた項目です。

ただし、これは「物語が存在しなかった」という話ではありません。

むしろ後半まで見ると、湖音波の過去と患者第一の姿勢、中田への思いがつながっていきます。

私としては、情報不足より情報過多だったと考えています。

初対面の同僚から名刺を渡された5秒後に、履歴書と学生時代の武勇伝と人生哲学まで説明されたら、こちらの脳内メモリも悲鳴を上げますよね。

『ヤンドク!』の序盤には、そんな「キャラクターを伝えたい気持ちがちょっと前のめり」な部分がありました。

一方、一部レビューでは湖音波が怒る場面を楽しんだという反応も確認できます。

つまり人物造形そのものが失敗したというより、分かりやすい熱血キャラクターを楽しめるかどうかで評価が分かれたと見るのが妥当でしょう。

理由② ヤンキー要素が強すぎる

2つ目は、タイトルにもなっている「ヤンキー」という個性を序盤から強く押し出したことです。

湖音波にはヤンキー時代があり、現在も興奮すると荒っぽい岐阜弁になります。

過去の仲間との関係やヤンキー時代のビジュアルも、作品を特徴づける重要な要素です。

問題は、主人公の医師としての価値観より先に「元ヤンキー」という記号が目立ってしまったことでした。

本来の湖音波は、ただ威勢がいい医師ではありません。

親友の死と自分が救われた経験があるからこそ、命を粗末にすることを嫌い、患者の人生を重く見る人物です。

ところが序盤では、その内面を理解する前にタンカを切る姿や荒っぽい言葉が続きます。

そのため一部レビューでは、ヤンキー設定が強すぎる、漫画的すぎるといった受け止め方もありました。

逆に、湖音波がキレる場面や岐阜弁を面白いと評価する個別の感想もあります。

ここは好き嫌いが非常にはっきりしています。

私見ですが、『ヤンドク!』に必要だったのはヤンキー要素を消すことではありません。

ヤンキーだった過去と、現在の「患者第一」という信念がつながっていることを、もっと早く実感させることだったと思います。

16歳の湖音波は、自分自身の命にも無鉄砲でした。

その人が親友を失い、自分は医師に命を救われたことで、今度は誰より命に執着する医師になる。

ここまで見えれば、荒っぽい言葉も単なるキャラ付けではなく、「この人が歩いてきた人生の名残」として受け取りやすくなります。

『ヤンドク!』には実はかなり筋の通った主人公像があります。

ただ、その出汁を味わう前にヤンキー味の七味を豪快に振りすぎた。そんな惜しさを感じました。

理由③ 医療ドラマとコメディーの温度差が大きい

3つ目は、命を扱う医療ドラマと、軽快なコメディー演出との落差です。

『ヤンドク!』は最初から硬派な医療ドキュメンタリーを目指した作品ではなく、元ヤンキーの脳神経外科医が医療現場を変えていく「痛快医療エンターテインメント」として作られています。

そのため、登場人物の掛け合いや湖音波のリアクションには意図的にコミカルな要素があります。

これは作品の特徴です。

ところが患者が深刻な病気を抱えている場面でも、直前までテンションの高い会話が続くことがあります。

人間は不思議なもので、笑っていた数秒後に「ここから命の話です」と言われても、感情のシフトレバーがすぐには動きません。

特に脳神経外科は、手術によって命だけでなく記憶、言語、視覚など患者の人生そのものへ影響が及ぶ領域です。

その重さとコメディーの軽さを同じ作品内で成立させるには、かなり繊細な演出が必要になります。

一方で、軽快だからこそ「月曜夜に重すぎず見られる」と感じた視聴者もいます。

一部レビューでも、気軽に見られることを肯定的に捉える感想が確認できます。

つまり問題は「コメディーを入れたこと」ではありません。

笑わせる時間と、患者の人生を見つめる時間の切り替えが視聴者によっては急に感じられたことでしょう。

ここは月曜21時という枠との相性を考えても興味深い部分です。

仕事や学校を終えた週明けの夜に見る作品として、重厚すぎない医療ドラマには意味があります。

一方で医療を扱う以上、軽さが命の重みを食ってしまえば逆効果です。

『ヤンドク!』はそのギリギリの線をかなり攻めた作品だったと言えます。

※画像はAIによるイメージ

理由④ 手術シーンのイラスト表現が軽く見える

4つ目は、手術内容をイラストやアニメーション的な映像で見せる演出です。

これは『ヤンドク!』の評価を最も真っ二つにしたポイントの一つでしょう。

脳神経外科の治療は専門性が高く、映像だけを見ても一般の視聴者には「いま何をしているのか」が分かりづらい場合があります。

そこで人体内部や処置をデフォルメして示せば、治療内容は理解しやすくなります。

また、血や手術映像が苦手な人でも比較的見やすいという利点があります。

実際、レビューの中には病状や治療をイラスト付きで説明する方法を肯定的に評価する感想もあります。

一方、低評価レビューでは、手術をイラストで見せることで医療ドラマらしい緊張感が弱くなったという趣旨の指摘も確認できます。

これはどちらが正しいという話ではありません。

同じ演出が、

「生々しくなくて見やすい」

にも、

「命を扱う場面なのに軽く見える」

にもなるからです。

私はこの演出について、アイデアそのものより使う場面の選択が重要だったと思っています。

難しい術式を理解させる場面では、イラストは合理的です。

しかし患者の生死や重い後遺症に視聴者の意識を集中させたい場面では、実写寄りの緊張感を優先した方が感情は入りやすい。

つまり「アニメだから悪い」ではなく、情報を伝える映像と感情を動かす映像をどう使い分けるかという問題です。

ここを一括して失敗扱いすると、『ヤンドク!』が目指した「医療ドラマの見やすさ」まで捨ててしまいます。

逆にすべてを見やすさだけで肯定すると、医療ドラマとしての緊張感が不足したという批判を無視することになります。

賛否が割れたのも納得できるポイントです。

理由⑤ 医療リアリティーに違和感を覚える

5つ目は、現実の病院と比較したときに展開が漫画的に見えることです。

『ヤンドク!』は原作漫画を実写化した作品ではありません。

実在する女性脳神経外科医をモデルとし、その半生を基にしながらフィクションとして構成されたオリジナルストーリーです。

ここは誤解しやすいところです。

実在人物がモデルだからといって、田上湖音波の経歴や劇中の事件、病院内の対立が一つ残らず実話という意味ではありません。

ドラマでは湖音波が病院の慣習へ強く反発し、自ら行動することで状況を変えていきます。

しかし現実の大病院では、治療方針は一人の医師だけで決まるわけではありません。

診療科、看護部門、検査部門、医療安全、患者本人、家族など、さまざまな立場が関係します。

医療現場に詳しい視聴者ほど、劇中の大胆な省略や主人公への権限集中が気になる可能性はあります。

とはいえ、『ヤンドク!』はリアルな医療現場をそのまま再現する番組ではありません。

約1時間のドラマとして患者の物語を完結させ、同時に主人公の成長や病院内の対立も描く必要があります。

そのため現実では複数人が担う役割を主要人物へ集約するのは、フィクションでは珍しくありません。

問うべきなのは「現実と完全一致しているか」ではなく、ドラマとして許容できる誇張の範囲だったかでしょう。

一部レビューでは非現実的だと感じたという評価も確認できます。

逆に、最初から医療エンターテインメントとして見れば気になりにくい人もいます。

私としては、「実話ベース」という言葉によってリアリティーへの期待値が高くなったことも、評価を厳しくした一因だと考えています。

「実在の医師がモデル」と聞いた瞬間、視聴者の中で無意識に現実度のハードルが1段上がるからです。

理由⑥ 橋本環奈と「元ヤン医師」の相性を疑問視する声がある

6つ目は、主演の橋本環奈さんと湖音波という役柄の相性です。

一部レビューでは、元ヤンキーとして迫力を感じにくい、医師として若く見える、荒っぽい言葉がコメディー寄りに感じられるといった意見が確認できます。

ただし、「橋本環奈さんだから『ヤンドク!』がひどくなった」と結論づけるのは乱暴です。

湖音波という役は、そもそも芝居の振れ幅がかなり大きい人物だからです。

患者には穏やかに寄り添う。

専門用語を使いながら治療方針を説明する。

脳神経外科医として手術を行う。

その直後には岐阜弁で怒鳴る。

ヤンキー時代も演じる。

コミカルな掛け合いにも参加する。

主演キャストへの満足度は3.1で、調査上の全体平均3.5は下回っていますが、ストーリーやセリフより極端に低いわけではありません。

また個別レビューでは、橋本さんの演技について、冗談の場面と真剣な場面の両方を楽しめたという好意的な感想もあります。

湖音波が怒る場面そのものを高く評価する声も確認できます。

つまり同じ芝居でも、

「大げさ」

と受け取る人もいれば、

「振り切っていて面白い」

と受け取る人もいるわけです。

ここで忘れてはいけないのが、俳優の芝居は脚本や演出から独立して存在するわけではないということです。

強いセリフを書けば、芝居も強くなる。

漫画的な演出を選べば、リアクションも大きくなる。

そのため『ヤンドク!』の演技を考える際は、橋本環奈さん個人だけではなく、湖音波というキャラクター設計を含めて評価する必要があります。

私としては、序盤より後半の湖音波の方が橋本さんの持ち味は生きていたと感じます。

理由は単純で、「元ヤンキー」という記号より「患者を救いたい医師」という人物の内面が前に出てくるからです。

『ヤンドク!』は後半で評価が変わる?チーム医療が重要

『ヤンドク!』を序盤だけで評価する場合と、全11話を見た場合では、かなり印象が変わります。

ただし「後半ほど視聴者全体の評価が上がった」と断定できる十分な定量データがあるわけではありません。

ここでは、あくまで物語の構造が後半で変化するという意味で整理します。

序盤の湖音波は、周囲の常識へ一人で突っ込んでいく人物です。

病院の組織論より患者を優先し、納得できなければ上司にも物申します。

ところが物語が進むにつれ、脳神経外科の仲間たちと協力する場面が増えていきます。

これが意外に重要です。

『ヤンドク!』は「型破りな天才医師が古い病院を改革するだけのドラマ」ではありませんでした。

湖音波自身も、一人で突破する医師から、周囲を頼りながら患者を救う医師へ変わっていくからです。

※画像はAIによるイメージ

これは医療ドラマとして面白い変化です。

序盤では「チームより自分の正義」が目立った人物が、次第に仲間の強みを理解する。

つまり湖音波は病院を変えるだけではなく、病院で働く中で自分自身も変わっていました。

私はこの点こそ、『ヤンドク!』の評価で見落とされやすい部分だと思っています。

タイトルや予告では「元ヤンキー×脳神経外科医」という派手な設定が当然目立ちます。

しかし最後まで追うと、本当に重要なのはヤンキー時代の武勇伝ではなく、救われた経験を持つ人間が、誰かを救う医師へ成長する過程です。

序盤の看板が派手すぎたせいで、後半の人間ドラマまで到達する前に離脱した人がいたとすれば、それは作品にとってかなり惜しいところでした。

『ヤンドク!』最終回はどうなった?中田との師弟関係を検証

『ヤンドク!』の最終話は2026年3月23日に放送されました。

物語の中心となったのは、湖音波と恩師・中田啓介の関係です。

湖音波は手術中、中田の動きに違和感を覚えます。

その後、中田は髄膜腫によって右側の視野が大きく欠けていることを湖音波へ明かしました。

湖音波は自分が手術すると主張します。

しかし中田は、たとえ命が助かっても視力を失えば医師を続けられなくなると考え、手術を拒みます。

ここで第1話から続いていた関係が反転します。

16歳だった湖音波が事故で命を落としかけたとき、救ったのは中田でした。

中田との出会いが湖音波の人生を変え、彼女は脳神経外科医になります。

そして13年後。

今度は湖音波が、中田を救おうとする側へ回ります。

派手なヤンキー設定をいったん横へ置いてみると、『ヤンドク!』には最初から最後まで一本の非常に分かりやすい軸がありました。

命を救われた少女が医師になり、いつか自分を救った恩師を救う。

王道ですが、強い構造です。

私としては、この師弟物語を序盤からもう少し前面へ出していれば、『ヤンドク!』への印象はかなり違ったのではないかと思います。

最終回は「完全回復」で終わらなかった

手術後、物語は1年後へ進みます。

中田は医療との関わりを続けていますが、視覚には大きな障害が残ったことが分かる描写があります。

重要なのは、ドラマが「天才医師が手術して全部元通り」という都合の良い結末にしなかったことです。

命は助かる。

しかし以前と同じ状態には戻れない。

それでも、自分にできる形で医療へ関わっていく。

序盤では漫画的な演出が目立った作品ですが、終盤の着地点は思った以上にシビアです。

医療とは「元通りにすること」だけではない。

残った機能や環境の中で、その人が次にどう生きるかまで含めて支えるものだと読み取れます。

私はここに、『ヤンドク!』が終盤でようやく見せたかった医療ドラマとしての芯があったと感じます。

本当のテーマは「ヤンキー」より希望の継承

タイトルだけ見れば『ヤンドク!』は「ヤンキー×ドクター」のドラマです。

しかし全11話を通して見ると、本筋はもう少し普遍的です。

親友を失った湖音波が、中田に命を救われる。

湖音波は医師になり、患者を救う。

病に倒れた中田を、今度は湖音波が救おうとする。

そして中田も、自分にできる形で次の世代へ経験を渡していく。

この循環を見ると、作品の中心にあるのは「救われた人が、次の誰かの希望になる」ことだったと私は考えます。

ヤンキー設定は非常に目立つ入口でした。

ただ、その入口の照明が明るすぎて、奥にある師弟ドラマまで見えづらくなってしまった。

『ヤンドク!』という作品の長所と短所が、ここに全部詰まっている気がします。

『ヤンドク!』は失敗作だった?脚本・演出を考察

ここからは私見です。

私は『ヤンドク!』を、テーマそのものが弱かった作品ではなく、序盤で個性を説明しすぎた結果、本来の人間ドラマへ視聴者を運び切れなかった作品だと評価しています。

第1話には、かなり多くの役割が課されています。

湖音波が元ヤンキーであること。

脳神経外科医として腕が立つこと。

患者を最優先すること。

岐阜弁で怒ること。

病院の古い体質と対立すること。

事故で親友を失ったこと。

中田が命の恩人であること。

その中田が、湖音波の記憶とは少し違う人物になっていること。

視聴者を退屈させる余裕がないほど情報があります。

しかしドラマでは、設定を理解することと人物へ感情移入することは別です。

私は『ヤンドク!』最大の弱点はそこだったと思います。

月9で「医療×ヤンキー」を成立させる難しさ

もう一つ注目したいのが、月曜21時という放送枠です。

医療ドラマには、患者の死や後遺症、家族との別れなど重いテーマが付きまといます。

一方、週の始まりの21時に見るドラマとしては、あまりに重苦しい作品だと視聴のハードルが上がります。

『ヤンドク!』がコミカルな演出やイラストを多用したのは、医療ドラマを幅広い視聴者が見やすいエンターテインメントへ変換する狙いがあったと考えられます。

この方向性自体には理屈があります。

問題は、患者の命を扱う重さと、作品を見やすくする軽さのどちらを優先するのかが、場面によってぶれたことです。

視聴者は医療ドラマを見ている以上、最終的には患者へ感情移入します。

そこで演出の軽さが前へ出すぎると、「いま笑っていい場面なのか、それとも緊張すべきなのか」が分かりにくくなる。

逆に後半のように人物同士の関係ができた状態なら、コミカルな掛け合いが息抜きとして機能しやすくなります。

同じ演出でも、視聴者が人物を好きになる前と後では受け止め方が違う。

ここは『ヤンドク!』を考えるうえでかなり重要です。

「理由6つ」は実は一つの問題につながっている

今回、「ひどい」と言われる理由を6つに分けました。

しかし私は、6項目が完全に別々の問題とは思っていません。

セリフが濃い。

ヤンキー演出が濃い。

コメディーも濃い。

手術イラストも特徴的。

医療展開も大胆。

主演の芝居にも大きなリアクションが求められる。

すべての根っこにあるのは、作品の個性を早く、強く、分かりやすく伝えようとしたことです。

その戦略がハマった視聴者にとっては、「他の医療ドラマと違って楽しい」になります。

ハマらなかった視聴者にとっては、「全部やりすぎ」に見えます。

だから評価3.1という数字も、妙に納得できるんですよね。

全員から嫌われた作品ではない。

かといって万人受けもしない。

強い味付けが、そのまま評価の分散につながった作品だったと考えられます。

第1話の評価と全11話の評価は分けた方がいい

検索評判を見るとき、私が特に気を付けたいのがここです。

第1話を見て合わなかった人の感想と、11話まで見た人の作品評価は分けて考えるべきです。

もちろん、第1話で離脱した人が悪いわけではありません。

連続ドラマには「来週も見たい」と思わせる必要があります。

会社員の休日なんて、朝に少し横になっただけで気付けば夕方です。11時間あるドラマを修行のように完走する義務はありません。

ただ、

「第1話のノリが苦手だった」

と、

「全11話の物語が成立していなかった」

は同じ評価ではありません。

『ヤンドク!』は後半になると、湖音波の過去、脳神経外科チームとの関係、中田との師弟物語が徐々につながります。

最終話まで見ることで初めて意味が出る要素もあります。

だから検索欄の「ひどい」という3文字だけを見て全話の価値まで判断するのは、少しもったいない作品です。

逆に、「最後は良かったのだから序盤への批判は間違い」とするのも違います。

序盤で視聴者を振り落としてしまったこと自体が、連続ドラマとして明確な弱点だからです。

この両方を認めるのが、一番フラットな評価だと思います。

まとめ:『ヤンドク!』がひどいと言われる最大の理由は「全部が濃い」

『ヤンドク!』が「ひどい」と言われる理由は、単なるアンチ評価ではなく具体的に整理できます。

①古く見えるセリフ・人物造形、②強いヤンキー要素、③医療とコメディーの温度差、④手術のイラスト演出、⑤医療リアリティーとの距離、⑥橋本環奈さんと役柄の相性への疑問の6点です。

2026年8月31日時点では、ドラマレビューで平均3.1、1,930件の投稿がありました。

評価分布は3.1~4.0が41%、2.1~3.0が36%で、低評価だけが並んでいる作品ではありません。

視聴者満足度では総合2.99、ストーリー2.8、セリフ2.8となっており、脚本やセリフへの違和感が数字にも一定程度表れています。

一方で、手術をイラストで説明する演出を分かりやすいと感じたレビューや、橋本環奈さんの振り切った演技を楽しんだ感想も確認できます。

つまり『ヤンドク!』の問題は、「何をやってもダメだった」ことではありません。

制作側が狙った個性そのものが強すぎて、その個性を面白いと思う人と、やりすぎだと思う人を分けてしまったことでしょう。

そして最終話まで見ると、作品の印象は少し変わります。

16歳の湖音波を救った中田。

医師になった湖音波が、13年後には病に倒れた中田を救おうとする。

この師弟関係までたどり着くと、『ヤンドク!』の中心は「ヤンキー医師が病院で暴れる話」ではなく、救われた人が誰かを救い、その希望が次へ受け渡される物語だったことが見えてきます。

私は『ヤンドク!』を「最後までひどいドラマ」ではなく、良い芯を持っていたのに、序盤の味付けを濃くしすぎたドラマと評価します。

第1話で「これは合わない」と感じた人も間違っていません。

最後まで見て「思っていたより良かった」と感じた人も間違っていません。

むしろ、その真逆の感想が同時に成立すること自体が『ヤンドク!』らしさなのでしょう。

検索候補の「ひどい」だけで判決を出すのではなく、「何がひどいと感じられたのか」「最後まで同じ問題が続いたのか」を分けて見る。

そうすると、このドラマがなぜここまで評価を割ったのかがかなり分かりやすくなります。

よくある質問

『ヤンドク!』はなぜひどいと言われたの?

主な理由は、古く見えるセリフや人物造形、強いヤンキー演出、医療とコメディーの温度差、手術のイラスト表現、医療リアリティーへの違和感、橋本環奈さんと役柄の相性を疑問視する声の6つです。

ただし個別レビューには好意的な意見もあり、一様に酷評された作品ではありません。

『ヤンドク!』の脚本は誰?

脚本は根本ノンジさんです。

『正直不動産』シリーズ、『パリピ孔明』、『監察医 朝顔』シリーズ、連続テレビ小説『おむすび』などを手がけています。

『ヤンドク!』に原作漫画はある?

原作漫画を実写化したドラマではありません。

実在する女性脳神経外科医をモデルとし、その半生を基にしながらフィクションとして作られたオリジナルストーリーです。したがって、劇中で描かれる個別の事件や人物関係がすべて実話という意味ではありません。

ほかのドラマやアニメについても、「続編はある?」「本当に打ち切り?」と気になる情報を事実ベースで整理しています。
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日暮ツムギ(週末アニメウォッチャー兼・現役会社員ライター)

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